(株)作本工務店

               技能検定(建築大工)は規矩術の知識なしでは合格できません。

                   新課題の作図例は・・・展開図

                                 技能検定(一級)令和4年より課題が変更されました。

                                  二級も同じ令和4年に課題が変更されました。


作本博昭のプロフィール


規矩術


大工さんは差し金を使って3次元の空間の墨付けを自在に行う・・・・。


上の表現は真実と誤解が含まれています。
差し金の理屈は直角形状のモノサシが裏表で使い分けることが出来て、裏目と呼ばれるものは√2倍の寸法が記されているのです。

その差し金の裏表を用いて寄せ棟という3次元の部材(特に隅木と呼ばれるものおよびその接合部)を計算なしで墨付(作図)できるという原理なんです。

したがって、基本的には平面的に45°方向の傾斜しか用いられないんです。

しかし、その制約があったとしても基本図という三角形(勾・殳・玄)から色々な傾斜を抜き出して、それぞれの取り合い部分の墨が付けられるのは不思議だと思われます。原理は基本三角形が傾斜が振れる度に角度が変化するという、下図のような三角形の相似を応用したものなのです。

実務では差し金だけを用いるのではなく、「木の身返し」という便利な作図方法が多用されることも多い。但し、色々な方法があるだけに自分のやり方が唯一正しくて他人のやり方は一切間違っている、という頑固な人も多いのがこの業界の特徴です。

45°以外の振れに関しては別に展開図を作図してそれを写し取るという方法が一般的です。









(規矩術応用の一例)


下の写真は規矩術の理解度を測るための屋根架構の模型です。(昨年まで一級技能検定課題とされていました)


この課題は「規矩術」の要素が随所にありました。









下のように三角形を基本として斜辺からの垂線(中勾と云います)を延ばして三角形を小割します。













小割した三角形はそれぞれ下図のように3次元の傾きを平面状の傾斜に置き換えることができます。















下の写真は、隅木と呼ばれる45°方向の横架構に隅垂木が傾斜を持って取り付くところです。


梁、桁に対して45°振っている隅木に、更に45°振った隅垂木の取り付く角度は上記の三角形を利用します。

















鼻隠しと呼ばれる軒の先端の墨も、上記の三角形の角度を利用します。







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